ものづくりの現場から-Episode3-

ZPIを代表するアイテムの一つに、陸っぱり専用リールのZ-PRIDEがあります。

その見た目からもわかる通り、非常に多くのパーツでZ-PRIDEは作り上げられています。

その多くがZ-PRIDEのために専用設計された物であり、まさにZPIの技術の粋を集めた製品であると言っても過言ではありません。そんなZ-PRIDEの中でも、今回は中々注目される事のない「カバーリング」という部品にフォーカスしてみようと思います。

カバーリングと言う名称にピンとこない人がほとんどではないでしょうか。

カバーリングとは、上記写真のMICRO MODULEと書かれた黒い樹脂パーツとゴールドのドラグの間にある、シルバーの部品の事を指しています。目立った花形の部品ではないものの、これがあるのとないのではイメージが全くと言って良いほど異なってくるので、Z-PRIDEにはなくてはならない部品の一つです。

このカバーリングですが、一見何でもないような部品のようにも見えますが、実は非常に繊細な部品であり、そこには熟練した腕の良い職人の技術が詰め込まれています。

それは削り出した時に出る金属の切粉の美しさを見ていただければわかるのではないでしょうか。

 

私が今回の撮影に際し工場に足を踏み入れた時、熱気とオイルの匂いが久々に製造現場にやってきた事を実感させてくれました。

入ってすぐに汗をかきながら機械を操作している職人が目に入りました。社長でもある彼は私が入ってきた事に気が付くと、タオルで汗を拭きながら笑顔でこちらに歩いてきてくれました。私は今回初めてお会いしたのですが、その静かな佇まいから滲み出ている腕の良い熟練職人のオーラを感じずにはいられませんでした。腕一本でここまでやってきたという自信と実績が、自然とそのオーラになっているのだと感じました。決して口数が多いわけではありませんが、その発する言葉一つ一つには説得力があり、自然と会話にひき込まれていってしまいます。一通り話を聞かせていただいた後、カバーリングを実際に削る様子を撮影させていただきました。

カバーリングを切削する機械には、カバーリング用に作られた治具が取り付けられており、削ったものが落下しないように工夫されています。通常であれば、オイルが飛び散って写真なんて撮る事が出来ませんが、今回に限って私が写真を撮影するために、オイルを出さずに写真撮影の為だけに機械を動かしてくれるという心遣いは、社長の行うものづくりは細かな所まで気持ちが行きとどいている事を容易に想像させてくれるものでした。

一つ、また一つと削り上がるカバーリングは、とても美しく輝いていました。

このようにして、職人の手によって生み出されたカバーリングが、アルマイトという処理を経てZ-PRIDEに取り付けられるのです。

 

ほんの小さな部品ではありますが、そこには目に見えないストーリーが存在しています。